○諏訪広域連合諏訪広域消防火災調査規程
平成12年7月1日
訓令第20号
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)について、必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 調査は、火災の原因及び火災により受けた損害を明らかにして火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
(用語の意義)
第3条 この規程において次に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。
(1) 火災
人の意図に反して発生し若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し若しくは拡大した爆発現象をいう。
(2) 建物火災
ア 「建物火災」とは、建物又はその収容物が焼損した火災をいう。
イ 「建物」とは、土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物に設けた事務所、店舗、興業場、倉庫その他これらに類する施設をいい、貯蔵槽その他これに類する施設を除く。
ウ 「収容物」とは、原則として柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物をいう。
(3) 林野火災
ア 「林野火災」とは、森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。
イ 「森林」とは、木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木竹と、これらの土地以外で木竹の集団的な生育に供される土地をいい、主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地及びこれらの上にある立木竹を除く。
ウ 「原野」とは、雑草、灌木類が自然に生育している土地で人が利用しないものをいう。
エ 「牧野」とは、主として家畜の放牧又は家畜の飼料若しくは敷料の採取の目的に供される土地(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。
(4) 車両火災
「車両火災」とは、次に区分する自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。
ア 「自動車車両」とは、イの鉄道車両以外の車両で、原動機によって運行することができる車両をいう。
イ 「鉄道車両」とは、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)における旅客、貨物の運送を行うための車両又はこれに類する車両をいう。
(5) 船舶火災
ア 「船舶火災」とは、船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。
イ 「船舶」とは、独行機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独行機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。
(6) 航空機火災
ア 「航空機火災」とは、航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。
イ 「航空機」とは、人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船等の機器をいう。
(7) その他の火災
(8) 爆発
ア 「爆発」は、人の意図に反して発生し又は拡大した爆発現象をいう。
イ 「爆発現象」は、化学的変化による爆発の一つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱とを発生し、爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。
(9) 出火原因
ア 「発火源」とは、出火に直接関係し、又はそれ自体から出火したものをいう。
イ 「経過」とは、出火に関係した現象、状態又は行為をいう。
ウ 「着火物」とは、発火源によって最初に着火したものをいう。
(10) 焼損程度
ア 「全焼」とは、建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの又はこれ未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないものをいう。
イ 「半焼」とは、建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント以上のもので全焼に該当しないものをいう。
ウ 「部分焼」とは、建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント未満のものでぼやに該当しないものをいう。
エ 「ぼや」とは、建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損床面積が1平方メートル未満のもの、建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損表面積が1平方メートル未満のもの、又は収容物のみ焼損したものをいう。
(11) り災程度
ア 「全損」とは、建物(収容物を含む。以下半損、小損において同じ。)の火災損害額がり災前の建物の評価額の70パーセント以上のものをいう。
イ 「半損」とは、建物の火災損害額がり災前の建物の評価額の20パーセント以上で全損に該当しないものをいう。
ウ 「小損」とは、建物の火災損害額がり災前の建物の評価額の20パーセント未満のものをいう。
(12) 火災損害
ア 「焼き損害」とは、火災によって焼けた物及び熱によって破損した物等の損害をいう。
イ 「消火損害」とは、消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害をいう。
ウ 「爆発損害」とは、爆発現象の破壊作用により受けた前記ア、イ以外の損害をいう。
(13) 調査員
「調査員」とは、火災調査に従事する消防職員をいう。
(調査の区分)
第4条 調査は、火災原因調査及び火災損害調査に区分する。
2 火災原因調査は、次の各号に掲げる事項を究明するために行うものとする。
(1) 出火前の状況
(2) 出火原因
(3) 延焼拡大の状況
(4) 初期消火等の状況
(5) 避難の状況
(6) 消防用設備等の状況
(7) 死傷者の状況
(8) その他必要な事項
3 火災損害調査は、次の各号に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。
(1) 焼き損害
(2) 消火損害
(3) 爆発損害
(4) 火災による死傷者
(調査の主体)
第5条 調査は、火災の発生した地域を管轄する消防署長(以下「署長」という。)が行うものとする。
(体制の確立)
第6条 消防長又は消防署長は、調査に必要な人員及び調査用器材を整備し、調査体制を確立しておかなければならない。
2 消防長又は消防署長は、火災の形態により調査を機動的かつ効果的に実施するため、特に必要があると認められるときは、調査本部を設置することができる。
(調査の実施)
第7条 消防長又は消防署長は、火災を覚知したときは、速やかに火災調査隊を編成し、調査に当たらせなければならない。
2 消防長又は消防署長は、関係機関と相互に協力し、調査が円滑、かつ、迅速に進展するよう配意しなければならない。
3 消防長又は消防署長は、原則として消防司令以上の階級にある者を調査責任者とし、火災調査活動の指揮に当たらせるものとする。
4 消防署長は、調査のために必要があると認めるときは、予防課長(以下「課長」という。)に火災調査活動の支援を要請できるものとする。
5 課長は、前項の要請があり必要と認めるときは、予防課職員(以下「防課員」という。)を派遣し火災調査活動を支援させるものとする。
6 課長は、前項の規定にかかわらず特に必要と認めたものについては、予防課員を派遣し火災調査活動に当たらせることができる。
7 消防署長は、火災調査上技術協力を必要と認めるときは、課長に対して管轄外の消防署(以下「他署」という。)の調査員の派遣を要請することができるものとする。
8 課長は、前項に規定する要請があったとき、又は必要と認めるときは、他署の消防署長と協議し、調査員の派遣について調整するものとする。
9 課長は、前項の規定に関する調査員の派遣について調整した場合は、消防長に報告するものとする。
(調査員の心得)
第8条 調査員は、火災現象、関係法令等調査に必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めるとともに、次の事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員は、調査員相互の連絡を図り、調査業務の進行が円滑になるように努めること。
(2) 調査員は、調査に際し関係者の民事的紛争に関与しないように努めるとともに個人の自由・権利を不当に侵害したり、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らしてはならない。
(3) 調査員は、関係のある場所へ立ち入るときは、原則として関係者の立ち会いを得ること。
(4) 警察機関、その他の関係機関とは密接な連絡をとり相互に協力して調査を進めること。
(5) 調査業務に当たっては、立入検査証を携帯するとともに、火災調査員である旨を表示した腕章を着用すること。
(調査の原則)
第9条 調査は、事実の確認を主眼とし、先入観念にとらわれることなく科学的な方法による確認と合理的な判断の上に立ち事実の立証に努めなければならない。
(火災現場の見分)
第10条 消防隊員及び調査員は、火災現場に出向したときは、消火活動中における火煙の色、臭い、燃焼音、延焼経路、その他関係者の言動等を見分し、現場指揮者に報告しなければならない。
2 調査員は、火災現場を見分し、火災原因の判定に必要な資料の収集に努めなければならない。この場合、原則として関係者の立ち会いのもとに行うものとする。
3 火災状況の見分は、その内容を明確にするため、写真により記録するよう努めなければならない。
4 調査員は、実況見分、関係者に対する質問等による事実等に基づき現場の復元を行うよう努めなければならない。
(現場の保存)
第11条 消防長又は消防署長は、消火活動が終了したときは、所要の措置を講じた上で現場を保存しなければならない。ただし、調査上その必要がないと認めたときは、この限りでない。
(死者が生じている場合の扱い)
第12条 消防長又は消防署長は、火災現場において死者を発見した場合は、所轄警察署長に通報するとともに、必要な措置を講じなければならない。
(質問)
第13条 調査員は、関係者に質問し、原因の判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。
(照会)
第14条 消防長又は消防署長は、必要があるときは、関係機関に対し必要な事項の通報を求め、又は照会することができる。
(資料の収集・保管)
第15条 消防長又は消防署長は、調査のために必要と認めるときは、関係のある者に対し、資料の任意提出を求めることができる。
2 特に必要である場合は、り災物件の関係者に対し、資料提出命令書(様式第2号)により資料の提出を命ずることができる。この場合、提出を依頼した資料のうち提出者が所有権を放棄しないものについては、鑑識、鑑定処分承諾書により提出者の承諾を得ておかなければならない。
4 資料提出者が、資料の返還を求めるときは、資料保管書と引換えに変換しなければならない。
(鑑定)
第16条 火災原因調査に必要があるときは、公的機関に鑑定を依頼することができる。
(調査報告書)
第17条 調査員は、調査結果を火災調査報告書により消防署長に報告しなければならない。この場合、特別な場合を除き、次の書類を添付するものとする。
(1) 火災調査書(様式第6号)
(2) 火災原因判定書(様式第7号)
(4) 火災現場写真及び復元図
(5) 質問調書
(6) 鑑定結果書
(7) 防火管理等調査書(様式第10号)
(8) 損害調査書(様式第11号)
(9) 死者の調査書(様式第12号)
(10) 負傷者の調査書(様式第13号)
(12) その他火災原因の判定、損害額の認定の根拠となった資料等
(原因の判定)
第18条 火災原因の判定は、火災の実況見分、質問、その他の関係資料等を総合的に検討し判定するものとし、物的調査、人的調査による資料により裏付けるものとする。
(概況の報告)
第19条 消防署長は、火災の状況についてその概況を消防長に速やかに報告しなければならない。
(調査の報告)
第20条 消防署長は、火災調査報告書を作成したときは、消防長に調査を完了した旨報告しなければならない。
(火災損害調査)
第21条 火災損害調査は、り災物件を詳細に調査し、損害の把握に努めなければならない。
2 損害額の算定基準は、火災報告取扱要領(平成6年消防災第100号)に基づき算出するものとする。
(火災報告)
第22条 消防長は、発生した火災について火災報告等オンラインシステムにより随時報告するものとする。
(り災証明)
第23条 災害等のり災証明の交付については、別に定める。
(り災申告書)
第24条 火災により、り災した当該消防対象物の関係者は、火災発生後7日以内に動産・不動産り災申告書により発生場所を管轄する消防署長に届け出なければならない。
(少年等に関する質問等)
第25条 調査員は、少年法(昭和23年法律第168号)第2条第1項に定める少年、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に定める身体障害者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に定める精神障害者(以下「少年等」という。)の火災調査に関する質問を行う場合は、立会人を置いて行うものとする。ただし、立会人を置くことで、真実の供述を得られないと判断されるときは、この限りでない。
2 調査員は、前項の質問を行うに当たっては、少年等の心情を考慮し、十分な理解をもって当たらなければならない。
3 調査員は、少年等を実況見分の立会人としてはならない。ただし、年齢、心情を考慮し、調査員が支障がないと認める場合は、この限りでない。
(情報の公開又は閲覧)
第26条 火災調査に関する情報の公開又は閲覧に対しては、諏訪広域連合情報公開条例(平成15年4月1日条例第2号)により取り扱うものとする。
(補則)
第27条 この規定の運用に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
この訓令は、平成12年7月1日から施行する。
附則(平成19年3月5日訓令第1号)
この訓令は、平成19年4月1日から施行する。
附則(平成27年3月27日訓令第15号)
この訓令は、平成27年4月1日から施行する。
附則(平成29年3月30日訓令第3号)
この訓令は、平成29年4月1日から施行する。
附則(平成31年2月28日訓令第1号)
この訓令は、平成31年3月1日から施行する。